
毎月の通信費の見直しの選択肢として注目されるMVNOサービス事業者たち。
携帯電話の大手である3大キャリアからMVNOへ乗り換える人が非常に多くなり、様々な方にとって有効な選択肢になるのではないか最も注目されています。
しかし本当に全てのスマートフォンユーザーにとってベストな選択肢と言えるのでしょうか?
今回は「MVNOサービスに向いているユーザーと、向いていないユーザー」を3大キャリアとMVNOの品質クオリティの説明も交えながら解説していきたいと思います。
目次
MVNOサービスの仕組みとは?
まず最初にMVNOサービスの形式を説明します。
「MVNOサービス」は簡単に言うと3大キャリアの通信網を借りてスマートフォンやタブレット等で利用可能なサービスを提供しているものです。
現在のMVNOサービス事業者はDoCoMoの通信網かauの通信網を借りている利用者がほとんどになります。
SoftBankは唯一MVNO事業者への通信網の貸し出しをしていませんでしたが、2017年からようやく貸し出しを開始しました。
今後のサービス展開に注目が集まります。
よくMVNOサービスのホームページに「◯◯の通信網を提供しているので、格安料金で高速通信を実現!」と記載があります。
一見「3大キャリアよりも格段に安い料金でスマートフォンが利用できるんだ?」と思いますが、現実問題として常に記載されている通りの通信クオリティで利用ができるわけではありません。
MVNOサービスは各キャリアから先に通信量を買い取り、そこからユーザーに電波を提供しています。
よって提供可能な通信料はその時によって限られます。
提供できる通信量が少なくなれば速度が遅くなることもあるのです。
速度が遅くなったときの実測値は契約事業者により異なります。
専門用語が多過ぎてわかりにくい方には以下のイメージをしてもらうと良いでしょう。
大きな会社から貰った水を入れるためのバケツがあったとします。
バケツの中に入っている限られた水をみんなで分け合うような感覚です。
バケツの中の水が足りなくなったら大きな会社が足してくれますが、足されるまでは少ない水をみんなで均等になるように分け合わなければいけませんよね?
水を通信量に置き換えて考えれば伝わるでしょうか?
また混雑する時間帯によっては通信速度が著しく落ちることもあります。
ただテキストサイトの閲覧やtwitterやfacebook等のSNSを使用する分にはストレスを感じないため、人によってはそこまで不便に感じない場合もあります。
MVNOサービスと3大キャリアの通信費を比較
3大キャリアとMVNOサービスの月額料金をプラン別にまとめてみました。
どれだけ金額が違うのか見てみましょう。
※どちらも業界内での平均相場料金です。
どちらも非通話し放題プランで算出しています。
MVNOは通話SIMプランです。
基本データ量 | 3大キャリア | MVNO |
---|---|---|
1GB | 5,300円 | 1,500円 |
3GB | 6,700円 | 1,600円 |
5GB | 7,600円 | 2,300円 |
7GB | 7500円 | – |
10GB | – | 3,200円 |
20GB | 8,650円 | 4,700円 |
月額料金の安さではMVNOが圧勝です。
MVNOの中でも割高になる「Y!mobile」や「UQ mobile」でさえ3大キャリアよりも安いコストで使用することができるため、家計の通信費をとことん節約するのであればMVNOサービスを選ぶことが最もベストな選択と言えるでしょう。
しかし3大キャリアから通信網を間借りしていることが原因となり、通信速度クオリティには差が生じてしまうこともあります。
通信速度のクオリティは如何に?
SoftBankの4GLTE回線の通信速度は下り速度で最大262.5Mbpsとなっています。
これはauやDoCoMoと同様となっており、MVNO事業者もホームページでは
「当サービスはDoCoMo(もしくはau)の通信網を利用しており下り速度は最大で262.5Mbpsの高速通信を提供しています」
と謳っています。
では、実際の実測値はどうでしょうか?
SoftBankでの実測値は以下の通りです。
【深夜帯】
【昼間ピーク時】
上り速度は変わらず15Mbps。
下り速度は深夜で約100Mbps、夜間で22Mbpsとなるのが相場です。
場所によって落差はありますが、概ね上記の速度は安定して出ます。
では、主要MVNO事業者の実測値はどうでしょうか?
【主要MVNOサービス下り速度実測値 DoCoMo通信網】
時間帯 | 楽天 | mineo | LINE | U-mobile |
---|---|---|---|---|
深夜~早朝 | 17.98Mbps | 81.78Mbps | 17.98Mbps | 73.93Mbps |
8:00~12:00 | 18.51Mbps | 39.78Mbps | 36.29Mbps | 21.31Mbps |
12:00~18:00 | 13.37Mbps | 20.95Mbps | 21.64Mbps | 14.2Mbps |
18:00~22:00 | 16.90Mbps | 5.72Mbps | 18.48Mbps | 0.33Mbps |
【主要MVNOサービス下り速度実測値 au通信網】
時間帯 | mineo | UQ mobile |
---|---|---|
深夜~早朝 | 14.97Mbps | 35.96Mbps |
8:00~12:00 | 9.73Mbps | 15.22Mbps |
12:00~18:00 | 5.01Mbps | 16.22Mbps |
18:00~22:00 | 4.15Mbps | 23.83Mbps |
全体的に昼間から夜のゴールデンタイムに時間進むほど通信速度は下降傾向にあります。
しかし上記の計測値はあくまで平均値となっており、ランチタイムとなる12:00~13:00の時間藍はほとんどの事業者が1Mbps前後となることが多く見受けれました。
またauよりもDoCoMoの通信網のほうが比較的安定していることが多いようです。
au通信網では「UQ mobile」が安定していますが、「UQ mobile」はauのMVNOの中では割高な部類に入るので当然の結果と言えるかもしれません。
MVNOサービスで通信速度が著しく低下する時間帯はこの3つ。
- 通勤ラッシュの8:00~10:00
- ランチタイムの12:00~14:00
- 帰宅ラッシュの18:00~20:00
この時間帯は下り速度が1桁代になることが多く、1Mbps前後になることも少なくありません。
この時間帯の速度改善は多くのユーザーから寄せられているため、今後のサービス向上に注目が集まっています。
3大キャリアと比較してアフターサービスは如何ほどか?
今までの主流サービスとなっていた3大キャリアにはあらゆる場所にキャリアショップを構えており端末の故障や操作方法でわからないことがある等、何か困ったことがあればショップに行けば解決するという利便性が高いものなっていました。
しかしMVNOサービスでは「Y!mobile」を除くほとんどの事業者が店舗を構えていないため、何か困ったことがあったときに早急に解決することは非常に難しいと言えます。
ある程度スマートフォン知識に長けている方であれば問題ありませんが、スマートフォンのトラブルに対する立ち回りに対する予備知識が乏しい人だと窮屈さを感じる可能性は高いのです。
例えば端末が故障してしまったら?
Android端末であればショップに出向いて修理依頼をすれば、ショップ側が端末メーカーの修理センターに故障端末を送付してくれます。
そしてその場で代替機の貸し出しもしてくれるので「困ったことがあればショップに行けばなんとかなる」と考えるのが一般的でした。
しかしMVNOサービスでは事業者の修理センターに連絡を行ったあとに故障端末を送付する必要があります。
保証サービスに入っていれば代替機の貸し出しもしてくれますが、代替機を受け取るまで時間が掛かってしまいます。
故障端末がまだある程度の操作ができればまだいいのですが、タッチパネルが反応しなかったり電源が全く入らない状態であれば数日の間は携帯電話が無い生活を送らなければいけません。
ただ端末によってはメリットもあります。
3大キャリアではiPhoneの修理になると保証サービスに入っていてもキャリアショップではなくAppleの正規サービス点に修理依頼をしなければいけません。
しかしMVNOサービスであれば保証サービスに入っていればiPhoneであっても事業者が修理受付を行ってくれます。
※事業者によって受付可否があるので、要確認。
またMVNOサービスに契約する際に同時購入した端末だけでなく、端末を持ち込みSIMカードのみ契約した場合でも保証サービスに加入することができるためショップが無い点を除けば3大キャリアよりは保証サービスのクオリティは高いと言えます。
またサービス提供歴が浅い事業者ばかりなので、電話窓口のオペレーターの応対品質の低さが目立ちます。
インターネットでの口コミ評判を見るとわかりますが、オペレーターの対応によるトラブル事例は多く見受けられるのです。
これは通信業界では「新規事業者あるある」と言われており、今後の応対品質向上を待つしか手はありません。
結局、MVNOはどんな人に向いているのか?
以上の点を考えるとMVNOサービスにはどういった人に向いていて、どういった人に向いていないのでしょうか?
項目別に分析していきましょう。
MVNOサービスに向いている人
外出先でのインターネット利用料が少ない人
自宅のWi-Fi環境でのインターネット利用がほとんどとなり、出先ではメールやLINEしか使用しない、動画の読み込みは外出先では一切しないという人にはMVNOサービスが良いでしょう。
MVNOサービスは3大キャリアに比べると通信速度が著しく低下する時間帯があります。
しかしこの時間帯は大容量の通信を行わず、テキストサイトの閲覧ぐらいであれば問題なく使用できます。
外での利用をしないから通信容量を安くしたい人
携帯電話料金を安くしたい人は「外での通信はほとんどせず、自宅のWi-Fi環境でしかネットをしないから高い料金を払うのがもったいない」と思う人が多いです。
MVNOサービスを利用するということは出先での使用量が少なくして月額料金を節約するということでもあります。
正直、スマートフォンユーザーでは多くの人が外出先での利用が少ない傾向が見受けられます。
外出先でのスマートフォン利用が極端に少ない人はMVNOサービスはお勧めと言えるでしょう。
端末に拘りがない人
現在、3大キャリアがセット販売をしているスマートフォン端末は高価格のものばかりで消費者のお財布の悩みを拡大している一方です。
iPhoneは10万円前後となっており、Android端末でさえも8万円のものが主流となっています。
MVNO事業者は数多くの低価格スマートフォンのセット販売を行っています。
端末価格の相場は1~5万円程度で低価格帯での振れ幅が非常に豊富です。
多くの端末がAndroid OSのものとなっているため「iPhoneを持つ必要がない」、「使えればどんな端末でも良い」という人であればMVNOサービスで全く問題はありません。
スマートフォン知識が強い人
MVNOサービスはアフターサービスに不安要素を抱えています。
特に操作面でわからないことが発生した場合、近隣にショップがないので頼りどころがありません。
さらに初期設定も自分自身で行わなければいけません。
しかしスマートフォンは知識さえしっかり身に付けていれば自身でトラブル解決ができるものでもあります。
スマートフォンに関する知識が豊富だと自信がある方であれば、一度MVNOサービスを利用してみる価値はあるのではないでしょうか?
また自分で購入した、または以前から所有している格安端末を持ち込んでSIMカードのみを契約することも可能なので、自分に合った格安スタイルを見つけることができます。
MVNOサービスに向いてない人
自宅と外出先のどちらも使用量が多い人
家に用意しているWi-Fi環境のみならず、外出先でのインターネット通信を頻繁に行う方はMVNOサービスはお勧めできません。
何故なら3大キャリアに比べると通信速度のクオリティが明らかに低下するからです。
MVNOサービスは時間帯によっては動画の読み込みが全くできない事態になることも珍しくありません。
外出先でスマートフォンやタブレット等でのファイル転送も同様です。
仕事での移動が多くWi-Fi環境以外での通信が多いヘビーユースなビジネスマンには明らかに不向きなサービスです。
テザリングを通したパソコンでのインターネット通信などもってのほか。
長距離通勤のお供に動画ストリーミングを行う人もストレスしか感じる要素しかありません。
あらゆるサービスのクオリティにこだわりたい人
端末が故障したときや、操作方法がわからないときに近場に頼りになる場所があって欲しいという方はMVNOサービスを選択するべきではありません。
3大キャリアでは全国各地にショップを構えており、様々なトラブル相談にも快く対応してくれます。
しかしMVNOサービスは店舗を構えていない事業者が非常に多く、ほとんどの事業者は電話でのサービスセンター問い合わせになってしまいます。
スマートフォン知識に自信がない人や、操作方法でわからないことが起こるのが不安だという方は素直に3大キャリアを選ぶほうが無難です。
総括
要約するとMVNOサービスはどういった人に向いているのか、一文で言うと「スマートフォン知識がある程度あり、外出先での利用料が少ない人が最も利用しやすいと感じるだろう」ということです。
しかしスマートフォン知識に乏しい方でも、トラブル発生時に自分で対処法を調べる行動力があれば問題はありません。
通信速度クオリティはまだまだ課題が多く、ヘビーユーザーが使用できる時代が来るまではまだ時間が掛かりそうです。
ショップの展開も含めて今後のサービス発展に注目していきましょう。