
今回は古くからケーブルテレビおよびインターネット事業者として知られている「J:COM」が提供するサービス「J:COM MOBILE」について徹底解説していきたいと思います。
「楽天モバイル」や「mineo」、「LINEモバイル」が格安SIMサービス市場の中で勢いのあるなか、古くからインターネット関係のサービス提供を行う事業者も格安SIMサービスを開始しています。
意外と見落とされがちな類の事業者ですが、今回はその中でも少しマニアックな部類となる「J:COM」をピックアップしてお得感はあるかどうかを検証していきます。
目次
「J:COM」ってどんなサービス?
「J:COM」は「株式会社ジュピターテレコム」が提供するケーブルテレビ事業者です。
「株式会社ジュピターテレコム」は「KDDI株式会社」の連結子会社でもあります。
もともとはケーブルテレビの事業者として名前が知られていましたが現在では固定インターネットサービス提供しており、人口密集地域の集合住宅にはあらかじめ「J:COM」の通信ケーブルが導入されているところが多く見受けられます。
しかし地方での提供エリアは意外と少なくなっています。
これは「J:COM」が提携している各地方のローカルケーブルテレビ事業者が多いことが原因だと考えられます。
また現在の光回線インターネットでは戸建て、マンションタイプ問わず下り速度の最大値は1Gbpsを誇っていますが「J:COM」のマンションタイプは120~320Mbpsとなっています。
これはインターネット接続に光回線ではなく「J:COM」のケーブルテレビ回線を利用していることに起因します。
「J:COM MOBILE」のサービス概要
そして今回紹介する「J:COM MOBILE」は「J:COM」が「UQコミュニケーションズ」を仮想移動体サービス提供者とし、「au」の4GLTE回線を使用する通信事業です。
要は「au」のMVNOということですね。
しかし提供しているのは「au」の通信網だけではなく、「DoCoMo」の通信網を利用した通称「Dプラン」のSIMカードも発行しています。
料金プラン
それでは「au」通信網によるプランと「DoCoMo」通信網によるプランを見ていきましょう。
【au通信網プラン】
データ容量 | 長期契約タイプ | 標準契約タイプ |
---|---|---|
0.5GB | 980円 | 1,380円 |
3GB | 2,980円 | 3,680円 |
5GB | 3,980円 | 4,680円 |
7GB | 4,980円 | 5,680円 |
10GB | 5,980円 | 6,680円 |
※通話とデータ通信込み。
【DoCoMo通信網プラン】
「Dプラン」では通話とデータ通信込みプランは3GBのデータ定額プランのみとなっており、月額料金は1,600円となっています。
月間で3GBを超過した場合は100MB(0.1GB)あたり200円の追加購入となります。
※データ通信専用SIMカードは月額900円。
「au通信網プラン」は厳密に言えば「UQ mobile」のサービスを「J:COM」で行っているため料金は高めとなっています。
その対策として料金がさらに格安の「Dプラン」を用意したのでしょう。
と言っても「Dプラン」のデータ定額3GBの料金はMVNOサービスの中では平均値ですが…。
お得な契約特典もある?
「au通信網」を利用している「J:COM MOBILE」に契約するとお得な特典も用意されています。
※「Dプラン」は対象外。
「J:COM MOBILEスタート割」
新規契約と同時に対象の取り扱い端末をセット購入すると最大で総額24,000円の割引が適用されます。
1,000円×12ヶ月=12,000円の割引になるか、
2,000円×12ヶ月=24,000円の割引になるかのどちらかになります。
対象機種はそのときによって異なるので、契約前に確認が必須です。
「他社スマホから乗り換えで10,000円キャッシュバック」
「au」以外の通信事業者からの乗り換え契約で10,000円分の商品券が付与されます。
これは3大キャリアではよくある「他社で発生する契約解除料金」に対する対策でしょう。
「UQ mobile」や「Y!mobile」では珍しいことではありません。
セット割引はあるの?
「J:COM MOBILE」にはケーブルテレビおよびインターネットサービス「J:COM」との特筆すべきセット割引はありません。
厳密にいうとネット回線とモバイル回線のセットプランはありますが、料金帯もそこまで安くありません。
ただ「J:COM MOBILE」と同時に「J:COM TV」または「J:COM NET」に加入すると端末代金が実質0円になる特典があります。
しかし「J:COM」は集合住宅タイプになるとインターネットの回線速度が著しく落ちる可能性があります。
さらに戸建て、マンションタイプ関係なく導入工事が必須となるため、あまり現実的な選択肢とは言えません。
ちなみに既存の「J:COM」ユーザーには適用不可となります。
現在、光回線でのインターネットを利用しているという方にはお勧めできません。
唯一あるメリットとしては「J:COM」のビデオ・オン・デマンドサービス利用の通信量がノーカウントになることぐらいでしょうか…。
メリットとデメリット
通信速度の評判に関してインターネット上での口コミ評判はほとんどあがっていません。
これは他のMVNOサービスに比べて契約者数が少ないが故かと思われます。
「J:COM」自体が全国では知名度がそこまで高くないサービスなので、致し方ないところではないでしょうか?
MVNOサービスは事業者によって通信速度の落差が激しいものなので、現状は「J:COM MOBILE」は選択肢として入れずに様子見が無難かもしれません。
ただ「UQ mobile」と同様のプラン料金ということから分析すると、「UQ mobile」と同等の品質である可能性が高いです。
逆に料金が「UQ mobile」と同等なのに速度が劣ると、言葉が出ませんからね…。
実態が掴みにくいサービスなのでメリットは断言できません。
しかしデメリットは何点かあります。
「セット販売の端末バリエーションが少ない!」
「J:COM MOBILE」でセット購入が可能な端末は以下の4種類。
この4種類のみとなっています。
他の事業者に比べると端末のバリエーションが非常に少なく、選択肢の幅を広げるには自分でSIMフリー端末を視野に入れるしかありません。
他の事業者と違い「ガラホ」を取り扱っているという点は評価できますが、この記事を読んで頂いている方の中でメリットがあると感じる人は少ないのではないでしょうか?
「iPhoneを取り扱っているが…」
「J:COM MOBILE」ではなんとiPhoneの取り扱いをしています。
といっても「iPhone 6S CPO」といういわゆる「Apple認定整備済製品」です。
「整備済製品」と聞いてピンと来られた方がいるのではないでしょうか?
この「整備済製品」はいわゆる初期不良等で交換となったiPhoneを整備して再販売しているものなのです。
品質は「Apple」の品質基準を満たしているので問題ありませんが、神経質な方には精神衛生上あまりお勧めできません。
しかし「iPhone6S」と「iPhone7」は性能差はほとんどないので、「整備済製品」に対して敏感ではない人には魅力的な選択肢になるでしょう。
「J:COM」よりもセット割引が有力な格安SIMサービス
現状、「J:COM MOBILE」は特筆すべきセット割引がありません。
ではインターネットとのセット割引を求めるのであれば、どの格安SIMサービスを選べば良いのでしょうか?
人気サービス事業者を紹介しましょう!
まず自宅のインターネットとのセット割引を得るのに最も適した方は「現在、自宅のインターネット回線がフレッツ光」だという方です。
何故ならば多くの格安SIMサービスは、その事業者が提供する「光コラボレーションサービス」と組み合わせることで月額料金を抑えることができるからです。
「光コラボレーション」はどこの事業者も「フレッツ光」の光回線を利用しています。
今現在、「フレッツ光」を利用していれば基本的には立会い工事が入ることなく今のネット環境のままで「光コラボレーション」に乗り換えることができるのです。
U-mobile
格安SIMサービスの中では通信速度などのクオリティ面の評判が高い事業者です。
セット割引も「U-mobile」の契約回線数が多ければ多いほど金額が大きくなります。
BIGLOBE SIM
古くからインターネットサービスプロバイダとして知られている「BIGLOBE」が提供する格安SIM。
「BIGLOBE光」とセットにすることで永年300円の割引が適用されます。
しかしインターネットの通信速度は地域によって異なるので事前調査が必須です。
OCNモバイルONE
「BIGLOBE」同様にインターネットサービスプロバイダの中では老舗の「OCN」が提供する格安SIMサービス。
「OCN光」とセットにすると最大で毎月1,000円のセット割引が適用されます。
インターネットの通信速度は「BIGLOBE光」に比べると安定しています。
運営会社が「NTTコミュニケーションズ」なので信頼ができますね。
NifMo
インターネットサービスプロバイダ「@nifty」による格安SIMサービス。
格安SIMサービスとしては評判が高くなりつつありますが、固定インターネットサービスの通信速度は低評価が目立つので悩ましいところ。
「@nifty光」と組み合わせると割引が適用となりますが、金額も200円と若干低めです。
ぷららモバイルLTE
NTTが運営するインターネットサービスプロバイダ「ぷらら」が展開する格安SIM。
「ぷらら光」とセットにすることにより最大1,000円の割引となります。
NTTが運営しているうえに割引金額も高いので魅力的と思いがちですが、「ぷらら」自体が昔から通信速度の評判が著しく悪いのでお勧めはできません。
予備知識として覚えておくに留めておきましょう。
【注意・重要】ぷららモバイルLTE 2017年11月30日でサービス終了
みおふぉん
今でこそ格安SIMサービス「みおふぉん」として名前が知られていますが、前身はインターネットサービスプロバイダの「IIJmio」。
「IIJmioひかり」とセットで600円割引となりますが、「IIJmioひかり」と「みおふぉん」ともにあらゆるサービス面のクオリティは発展途上です。
こちらは様子見が得策でしょう。
DMM mobile
動画サービスで知られている「DMM」も「光コラボレーション」とのセット割引が可能です。
「DMM mobile」と「DMM光」とセットにすると毎月500円の割引が適用されます。
しかし、こちらも「DMM光」のクオリティが発展途上…。
DTI SIM
インターネット業界でもかなりマニアックなプロバイダ「DTI」による格安SIMサービス。
もともとは法人向けサービスが強い事業者でした。
「DTI光」とセットで毎月150円の割引が適用されます。
割引金額が低いうえに格安SIM、インターネット共に通信速度の評価は低いので回避することが無難です。
総括
月額料金、通信速度クオリティ、インターネットサービスとのセット割引を全て考慮したうえで最もお勧めできるのは「OCNモバイルONE」でしょう。
割引金額も高く、インターネットの通信速度も比較的に安定しているので問題に遭遇する確率は低いと言えます。
もちろん格安SIMの月額料金も「J:COM MOBILE」に比べるとかなり安価となっています。
ちなみに他にBB exciteが提供している「エキサイトモバイル」、So-netが提供している「nuro mobile」もありますが、この2つの事業者はンターネットとのセット割引が用意されていません。
SIMとインターネットのセットプランはありますが、お得感はそこまで高くないので選択肢としては入れないほうが良いでしょう。
「J:COM MOBILE」に対しての総合評価ですが、正直言うと「微妙」です。
「微妙」というよりかは契約者数が少ないがゆえにクオリティ面が明確に見えてこないため「未知数」と言うべきでしょうか。
しかし取り扱い端末が極めて少ない、データ通信のノーカウント対象が「J:COM」によるビデオ・オン・デマンドぐらいしかないという点は大きなマイナスポイントです。
現在は「LINEモバイル」のようにあらゆるSNSサービスが通信料無料で使用ができるうえに、格安SIMサービスとしては低料金で使用できる事業者が続々と現れています。
今後はまた様々な新しいサービスが展開される確率は高いですし、新規事業者の参入もまだまだ予想されます。
この市場の状況であえて「J:COM MOBILE」を選択する理由が見当たらないのです。
またせっかく「au」の通信網以外にも「DoCoMo」の通信網が利用できる「Dプラン」を提供しているにも関わらず、プラン内容の種類が乏しすぎます。
「au」のMVNOをメインに展開したいという思惑が見え隠れしますが、それであれば「Dプラン」を選ぶメリットが感じられません。
「DoCoMo」のMVNOを選択するのであれば「LINEモバイル」や「U-mobile」等、まだまだ魅力的な事業者が存在します。
既存の「J:COM」ユーザーに対する特典が充実化すれば少しは状況が変わってくるのではないでしょうか。