
今回は「Y!mobile」で通信契約が可能になるWindowsタブレット「Surface3」についての考察をしていきます。
毎月のスマートフォンの月額料金が安くなることにより注目が集まり、携帯電話市場の主流となりつつあるMVNOサービス。
MVNOと聞くとほとんどの方はスマートフォンを思い浮かべるでしょう。
しかし利用できるサービスはスマートフォンだけではありません。
タブレット用のSIMカードも展開されているのです。
タブレットと聞くと多くの人は「iPad」のイメージを持っていると思います。
しかし現在は「iPad」だけではなくAndroid端末のタブレットも非常に多くの機種が存在しており、選択肢の幅は一気に広がりました。
その中でもWindowsユーザーに最も注目されているタブレットが存在します。
それは「Surface」シリーズです。
「Surface」シリーズのほとんどのモデルはWi-Fiかテザリング接続が必要です。
しかし唯一SIMカードの挿入が可能である「Surface3」が用意されており、購入を検討する方も多いです。
今回はその「Surface3」に焦点を絞り解説していきます。
目次
「Surface」シリーズの歴史と仕様を解説
「Surface」の正式名称は「Microsoft Surface」となっており、その名の通りMicrosoftが開発しているタブレットPCです。
皆さんは既にご存知かと思いますがMicrosoftはOSのWindowsで有名ですよね。
「Surface」シリーズは2012年6月に発表されてから現在まで様々なマイナーチェンジを施したシリーズを発売しています。
他のタブレットと違い別売りのファブリック素材によるキーボードを仕様することがメインとなっていることが特徴です。
現在でこそ「iPad pro」がSmart Keyboardでのタイピング可能デバイスを推奨していますが、キーボードの展開は「Surface」が先駆けになります。
「Surface」が他のタブレットと差別化を図っている最大の特徴は搭載OSがタブレット用のモバイルOSではなく、純粋なWindows OSであることです。
このことを考えると「Surface」はタブレットと言うよりは「タブレットの形をしたモバイルPC」と認識するほうが正しいでしょう。
よって「Surface」シリーズは他のタブレットと違いOffice関係のソフトを用いた編集作業にも対応してくれる汎用性が高いタブレットになりことは容易に予想できるはずです。
現在「Surface」シリーズでメインに展開されているのは「Surface pro4」、「Surface Book」、「Surface3」の3機種です。
後ほどスペック別の比較を行います。
「Y!mobile」で契約した場合の料金プランと通信速度
「Y!mobile」でのタブレットプランは主な選択肢が2通り用意されています。
まずはタブレット回線自体にデータ定額が設定されている「データプラン」。
このプランには月間使用容量が1GBの「S」と7GBの「M」が用意されており、月額料金は以下の通りになります。

契約期間はどちらも3年となり、3年後の更新月以内に解約した場合は契約解除料金が9,500円請求されます。
もう一つは「Y!mobile」のスマートフォンを所有している方向けの「シェアプラン」。
これは親回線のプランによってタブレットの基本資料料金が変わるプランです。
どのプランであっても従来の「データプラン」よりは格安料金になります。
「Y!mobile」は独自の通信網とSoftBankの通信網を提供しているので、通信速度自体はあまり問題はありません。
尚、「Surface3」の下り速度の理論値は最大112Mbpsとなっています。
「Surface」シリーズ内での比較
先ほども述べたように「Surface」シリーズは現在展開されている主要機種は3種類。
3種類ともスペックは大きくことなり、使用用途に合ったものを選択する必要があります。
スペック比較表をもとに分析していきます。
「Surface機種別スペック表」
Surface3 | Surface pro4 | Surface Book | |
---|---|---|---|
日本発売日 | 2015年6月19日 | 2015年10月26日 | 2015年10月26日 |
搭載OS | Windows 8.1 | Windows10 Pro | Windows10 Pro |
CPU | Intel Atom | 第6世代(Skylake) Core m3-6Y30 Core i5-6300U Core i7-6560U |
第6世代(Skylake) Core i5-6300U Core i7-6560U |
RAM | 2/4GB | 4/8/16GB | 8/16GB |
ストレージ | 64/128GB | 128/256/512/1TB | 128/256/512/1TB |
ディスプレイ | 10.8inch 1920×1280 |
12.3inch IPS液晶 2736×1824 |
13.5インチIPS液晶 3000×2000 |
グラフィックス | Intel HD Graphics | HD Graphics515(m3) HD Graphics520(i5) Iris(i7) |
HD Graphics520(i5) GeForce(i5,i7) |
質量 | 641g | 766g(m3),786g(i5,i7) | 1,516g(キーボード装着時) |
キックスタンド | 3段階 | 任意の自動調節可能 | 任意の自動調節可能 |
Wi-Fi | 802.11a/b/g/n/ac | 802.11a/b/g/n/ac | 802.11a/b/g/n/ac |
Bluetooth | Ver 4.0 | Ver 4.0 | Ver 4.0 |
インターフェース | USB 3.0ポート microSDカードリーダー Mini DisplayPort マイクロUSB充電端子 Nano SIMカードスロット ヘッドフォンジャック |
USB 3.0ポート microSDカードリーダー Mini DisplayPort タイプカバー接続用のCoverポート 充電用ポート ヘッドフォンジャック |
USB 3.0ポート microSDカードリーダー Mini DisplayPort SurfaceConnect(ドック端子) ヘッドフォンジャック |
価格帯 | 62,000~75,000円 | 103,464~293,544円 | 200,664円~410,184円 |
どの機種も拡張性が優れているインターフェイスとなっており、使い勝手の良さが伺えます。
処理速度面ではどうなるのでしょうか?
・「Surface3」
「Surface」シリーズの中で唯一「Nano SIMカード」の挿入が可能な機種。
CPUが「Intel Atom」と安価なノートPCに搭載されているものになっています。
「最低限の作業は可能」と考えて良いでしょう。
WordやExcel等の入力作業やブログ記事作成、ネット閲覧等は普通にこなせるスペックです。
画像や動画編集等の負荷がかかる作業には完全に不向きで、フリーズが起こってしまうこともしばしば。
出先でのサブマシンとして有効活用できますが、メインマシンとしては不向きと言わざるをえません。
出先での文字入力等であれば十分に活躍してくれるでしょう。
持ち運び安さでは「Surface3」が最も良いでしょう。
・「Surface pro4」
「Surface3」の上位互換とも言えるタブレットPCと言ってもいい機種。
CPUやストレージ容量の選択が可能です。
「Core i7」を選択すれば動画編集もなんなくこなすことができ、メインPCとしても引けを取らないクオリティと言えます。
・「Surface Book」
「Surface」シリーズの中で最も「ノートPCらしい」デザインが特徴。
キーボードとの取り外しも可能ですが、取り外すとスペック性能が若干下がります。
グラフィックのスペックも最上級クラスとなっており、PCゲームにも幅広く対応が可能です。
しかしデザインにスマートさがないところが欠点となっており、「Surfaceらしさ」のデザインを求めるのであれば「Surface3」か「Surface pro4」を選んだほうが良いでしょう。
・総合面で考える
3機種のうちで携帯性やスペック面で考えると「Surface pro4」が最も使い勝手が良いように感じます。
様々な作業をする可能性を考えるとこの選択が無難です。
「Y!mobile」で購入が可能な「Surface3」は携帯性は高いですが、スペック面に不安が拭えないのが欠点。
動画や画像の編集をしないことが確実なのであればベストな選択肢になりますが、将来的なことを考えると疑問が残ります。
法人用として導入するには好ましい機種になるでしょう。
「Surface Book」は「この機種でいろんな作業をガッツリやるぜ!」と言った方に向いているデバイスです。
その分、最上級スペックになると30万円を超えてしまうのでカジュアルな用途としてはお勧めできません。
「Surface pro4」と「Surface Book」はSIMスロットが用意されていないため、Wi-Fi接続がテザリング接続が必要になります。
テザリングは便利な機能ですがスマートフォンのバッテリー減少が激しくなってしまうため、モバイルバッテリーの携帯が必須です。
またバッテリーに対する負荷も激しく、スマートフォン本体が熱くなることも多々あります。
「Surface」シリーズを出先で使用するにはやはら「モバイルWi-Fiルーター」好ましいですが、月額料金が4,000円前後必要になるので悩ましいところでしょう。
「Surface」シリーズの共通の欠点
Windows OSが搭載されておりスマートなデザインであることが大変魅力的な「Surface」シリーズですが、欠点も数多く存在します。
・「ソフトによっては文字サイズが小さくなる」
Office関係は問題ありませんが動画編集ソフト「Adobe Premier」等を使用すると表示される文字が小さくなってしまうことがあります。
ソフトによって異なるので必ず発生するとは限りませんが、導入ソフトを選んでしまうところは減点対象です。
・「タイプキーボードが反応しなくなる」
これはキーボードを取り外して再度接続すれば解消されるのですが、本体とキーボードを繋げる磁力が非常に強いためストレスを感じてしまいます。
・「画面に緩みがある」
これは個体差にもよるのでしょうが、画面が暗くなったときに反射で非常に気になります。
他のノートPCに比べるとまだ勝てない点なのでしょうか。
タッチパネルに対応しているが故の問題点かもしれません。
・「タイプキーボードの緩みが気になる」
これは別売りキーボードの接続が可能なタブレットの当分の課題でしょう。
「Surface」シリーズではタイピングするとキーボード全体が緩む感じが非常に気になります。
優しくタイピングすれば問題はありませんが、打鍵が強い人は…。
他メーカーのタブレットと比較
つづいて他のタブレットと比べるとどうでしょうか?
国内で販売数が多いタブレットを見ていきましょう。
・「iPad pro」
「ラップトップ同等の性能を誇る」と謳っているAppleの名シリーズ。
この「iPad pro」がリリースされた当時、Appleのティム・クックCEOはある取材で「君はまだパソコンを使っているのか?」という強気な発言を残していますが、正直ノートPCにはまだ及んでいません。
確かにスペック面はノートPC同等のクオリティを誇っています。
しかし搭載されている「iOS」が最大の障害になっています。
「iOS」はあくまでもモバイル用のOSソフトウェアとして作られています。
それによってノートPCのような編集作業ができるアプリケーションが非常に少ないのです。
動画編集ソフトに関してはこだわった編集ができるアプリは皆無と言っていいでしょう。
Officeの利用は可能ではありますがノートPCに比べると使用できる機能にも制限があります。
そのうえ同一アプリでの複数ファイルの同時閲覧が不可能であることで非常に不便さを感じてしまうのです。
価格対は10万円前後でありながら編集作業の自由度が低いのはどうも納得ができません。
しかし「iPhone」と同じ感覚で使用できることが「iPad」の最大の魅力。
カジュアルにインターネットやアプリケーションを楽しむのであれば「iPad」で十分事足ります。
カジュアルな方には高価な「iPad pro」はお勧めできないので、安価な最新の「iPad」を選ぶといいでしょう。
価格帯も37,800円~と非常に手が出しやすいです。
・「ASUS ZenPad 10」
10インチのSIMフリーAndroidタブレットの中では最も人気があります。
しかしこちらもモバイル用として作られたAndroid OSになるため、過度な編集は期待できません。
普段Androidスマートフォンを利用している人が気軽に使うタブレットとしては重宝するでしょう。
値段も48,384円と比較的安価です。
他に8インチモデルも展開しています。
どんな人に何が向いている?タブレット購入診断!
タブレットの選択基準は至って単純明快です。
気軽に大きい画面でのネットや動画の閲覧や、ゲームを楽しみ楽しみたい方であれば「iPad」かAndroidタブレットで全く問題がありません。
スマートフォンの延長線上のようなデバイスであるため、気軽に導入することができます。
「iPad」は以前は6万円前後したため手が出しにくかったですが3万円代の「新iPad」が登場したことにより、選択肢として加わりやすくなりました。
ノートPCの替わりやサブマシンとして本格的な運用を好む方であれば「Surface」シリーズがお勧めです。
操作の感触はWindows PCと全く変わらず、Office関係の運用は全く問題ありません。
あとは過度な編集をするか否かで見合ったスペックの機種を選択しましょう。
総括
最終的に「Y!mobile」で「Surface3」を購入することに魅力があるのかどうかというお話ですが、答えは「微妙」です。
「微妙」と言っても全ての方がそうなるわけではなく、Officeの編集とネット利用だけであればスペック的に「Surface3」がピッタリな人もいるでしょう。
しかしOfficeだけでの利用で「Y!mobile」の通信網を利用する必要があるのかと言えば難しいところ。
外出先で大容量の動画読み込みを行うことがあれば必要ですが、Office程度の利用だけに留まるのであればスマートフォンのテザリング機能で十分だからです。
よってSIMフリーとして本体を購入して「Y!mobile」以外のMVNO事業者のデータ通信専用SIMを使用したほうが現実的かつ経済的になる人も必ずいることになります。
欲を言えばハイスペックな「Surface pro4」や「Surface Book」に「Nano SIMカードスロット」を搭載してほしかったというのが本音です。
「Surface」シリーズも近々新作発表がされるかもしれない噂も出回っているので、新作発表を期待して待つのもまた一考になるでしょう。